ミトコンドリアで老けない身体、最適な有酸素運動はどれ?
ミトコンドリアとは?
ミトコンドリアは「細胞の発電所」とも呼ばれる。人が生きるにはATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー分子が必要不可欠。ミトコンドリアではクエン酸回路という化学変化を次々と起こさせる回路を使い、グルコース1分子から36個のATPを作り出す(たんぱく質、脂質も利用できる)。これで私たちは生きている。
もう1つの役割が、ミトコンドリアは細胞内にある小器官だが、アポトーシスでも重要な役割を担う。
アポトーシスとは個体を良い状態に保つために、細胞が自殺するようプログラムされた細胞死で、ミトコンドリアは、この細胞の生と死の制御にも関わっている。
機能低下はなぜ起こる?老化との関係
ミトコンドリアは細胞の生死に重要な役割を果たすが、自身の生死をも厳密にコントロールしている(そのためにミトコンドリア内には特別なDNAまであるほど。)
マイトファジー=自食作用というシステムがそれで、劣化したミトコンドリアの蓄積は細胞全体当たるため与えるため、機能が低下したものは分解・除去される。つまり、ミトコンドリアの自殺ともいえる。
ところが、近年、このマイトファジーが機能しないことで、古くなったミトコンドリアが蓄積してしまい、その結果、脳や筋肉の老化が進むのでは、と考えられている。
サルコペニアやパーキンソン病などの一因とも言われているよう。
ミトコンドリアが機能低下を起こす原因は、まず腸内環境の乱れにある。ATPを作るには、その材料である糖質、脂質、たんぱく質、それにクエン酸回路を回すためのビタミン・ミネラルが必要である。
しかし、腸内環境が悪く、食物の消化吸収がうまくいかないと、これらが体内に入りにくくなり、ミトコンドリアに物資不足が起きる。また、エネルギーが減少すれば肝臓の働きも悪くなる。肝臓は体内の毒素を無害化するが、それができにくくなり、血液を介して毒素が各組織に運ばれてしまう。
さらにミトコンドリアはエネルギーを作るとき、同時に活性酸素も生み出してしまう。そして、これにより自身も徐々に障害を起こし、機能が低下していってしまう。
慢性炎症にさらば!
例えば朝起きられない、身体がだるい、病院に行っても原因不明、といったことに悩む人は多い。そして、この原因もミトコンドリアに依るところが大きい。
心身に過剰なストレスがかかると活性酸素ができやすくなり、腸内環境も悪くなる。結果、細胞炎症が起きて、ミトコンドリアの機能が低下。エネルギー不足で様々な組織で不具合が起きる。
現代では、日常的にストレスにさらされるため、炎症は慢性化する。飽食の時代、肥満も慢性炎症の一つと考えられている。そして老化は進む。ミトコンドリアの機能を高めていくことが重要。「細胞の発電所」を元気に育てたいものです。
ミトコンドリアを育てる有酸素運動
①パワーウオーキング
いわゆる速歩。筋肉中のミトコンドリアが活性化する。持続的にエネルギーを消費でき、心血管系の健康をサポート。足腰への衝撃も少ないので、高体重の人はここから。
②ランニング
ミトコンドリアの量を増加させて、筋持久力を向上させることができる。ただ、膝や足首などの下半身への負担が大きいため、高体重の人は行うときに注意が必要。
③水泳
ミトコンドリアの機能向上に期待できる。全身運動だから筋肉を鍛えられ、心肺機能も向上する。低衝撃で関節への負担も少ないから泳げさえすれば、安全な運動だ。
④フィットネスバイク
筋肉中のミトコンドリア密度を増加させる効果がある。下半身を中心に鍛えることができ、こちらも心血管系の向上を狙っている。大きな衝撃を受けることもない。