老化は治せる!?時代とまで言われるほどアンチエイジング研究は進んでいる。
生物学的年齢が暦年齢を追い越すのは40代?
年中年かぶりかの同窓会で出会った同級生。もしや先生・・・?と勘違いしたり、逆に全く変わらない容姿に驚いたり、老け方は人それぞれですね。
生まれ年から積み重ねる年齢は「暦年齢」、個人差の大きいエイジングを「生物学的年齢」という。
同志社大学生命医科学部の米井先生は次のように述べている。
「アンチエイジングとは何かと言うとアンチ「病的」エイジングです。一年一年歳をとっていく加齢は誰にでも平等に訪れます。問題なのは、血管や骨や筋肉などが様々な原因で病的に老化し、機能が低下する病的老化です。」
ある研究では45歳の段階で年間2・44歳老化するグループと0.4歳しか歳をとらないグループの2つの群に分かれた。老化のペースが早い人は歩行速度や握力、視力、聴力などの低下、外見も実年齢より上に見える人が多かった。40代半ばにして差がついているようなのだ。
最大の老化原因は「糖化」と「アルデヒド」である
さて、病的な老化を引き起こす主な原因に酸化と糖化という2つの化学反応がある。酸化は活性酸素などの反応性の高い酸素が細胞を傷つけ、糖化は糖がたんぱく質と結びついてAGE(終末糖化産物)を作りだし、どちらも細胞の老化を促したり多くの病気を引き起こす。
「2つの反応は同時進行している訳ではなく、たとえば脳や肝臓など脂肪の多い臓器で脂質が酸化されると、アルデヒドという物質が作られます。この反応はビタミンなどの抗酸化物質で防げます。ところがアルデヒドがたんぱく質と結合してAGEなどの異常たんぱくを作り出す反応は、抗酸化物質では止めることができない。そこが問題です」(米井先生)
生物と酸化の闘いの歴史は長く、生きていくため酸素を取り込むたびに酸化反応が起こるので、防御システムも発達した。ところが糖化ストレスとの付き合いは飽食時代+運動不足のここ数十年。結構無防備、ゆえに初期段階の酸化防ぐことが重要なのだ。
動物性脂肪依存が細胞老化を引き起こす。
昨日のランチは天ぷらそば、今日のランチは唐揚げ定食、明日の給料日にはとんかつの名店に行こうかな・・・動物性脂肪を常食していると、揚げ物などの高脂肪食を必要以上に食べたくなる。これが「動物性脂肪依存症」。琉球大学の益崎教授の研究によれば、動物性脂肪が脂肪への欲求を呼び、高脂肪食を食べたくてたまらなくなる、さらには運動欲求の低下、細胞老化などが引き起こされるという。
動物性脂肪依存に陥ると脂肪の摂取が増えて運動不足になるので、肥満になります。肥満は老化を促進する糖尿病や動脈硬化などの病気の発端。でもこの依存のスイッチを切ると考えられているのが玄米の米ぬかに含まれるγ-オリザノールという成分です。継続して摂ることで脂肪食への依存が解消されていくのです。
後述する未精製の玄米などの未精製炭水化物は、若返り食の基本なので覚えておきたいです。
話題のNMNが若返り物質と呼ばれるワケ
初めは美容業界、現在はアンチエイジングの世界で注目を浴びている若返り成分NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)。サプリメントが各メーカーから続々登場、高額ながらも人気を呼んでいる。でもNMNには具体的にどんな働きがあるのでしょう?
NMNはNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)という物質の材料です。NADの一番大きな働きは、アルデヒドを安全な物質に変換する代謝を促すこと。また、ミトコンドリアの中にはエネルギーを作るTCA回路というのがあって、この回路の3カ所にNADが関わっています。酸化反応や飲酒で大量にアルデヒドが作られるとNADがそちらで使われてTCA回路がうまく回らなくなってしまいます。
NADは体内で合成されるが加齢によって量が減っていく。よって、材料であるNMNを外から補うことで糖化ストレスを防ぎエネルギー産生を促すということになります。