ほどよいストレスを与えると細胞の生命力がアップし、脳も活性化する
細胞の「本気スイッチ」をオンにし、適度なストレスのある環境を作る
一般的に「ストレス」と聞くと、心身の不調につながるようなネガティブなイメージばかりがつきまといます。こういったストレスは「高容量ストレス」といわれるもので、細胞にダメージをもたらす「悪いストレス」となります。
これに対し、「低容量ストレス」は「良いストレス」として細胞に不可欠な存在。
低容量ストレスを受けることで、細胞が高容量ストレスにも耐えられるように強くなっていくのです。
低容量ストレスには、暑さ寒さ、空腹、低酸素といった因子が該当します。
こういった「よいストレス」を受けることで、細胞内で体を守るための「HSP」(熱ショックタンパク質)という物質がつくられます。
このHSPは、細胞内で様々な生命活動を担う各種のタンパク質に働きかけ、タンパク質の不良品が出るのを防いだり、不良品になったタンパク質を修復したりする「タンパク質をサポートするタンパク質」です。
いわば、細胞をパワーアップさせ、過酷な環境でも生き抜けるようにする「本気スイッチ」のようなもの。
熱以外にも種々の「よいストレス」が刺激となってHSPがつくり出され、生命力が高まるのです。
日常生活に刺激がなくなると一気に老け込んでしまうのは細胞も同じ。全身の細胞にも「ちょっとした生きがい」や「乗り越えるべき目標」が必要なのです。
普段の暮らしのなかで、「本気スイッチ」をオンにできるようなよいストレスを意図的に増やすことが、脳をはじめとした全身の機能を高めることに繋がります。
HSPを増やす生活のヒント
①温冷浴で全身活性化!
温冷の刺激は、体に適度な負荷をかけてHSPを増やすうえでもっとも手軽な方法。毎日の入浴の延長として誰でも簡単に実践できるからです。しかも、熱湯と氷水といった極端な方法ではなく、普段の入浴に常温のシャワーを組み合わせるだけで十分。この温冷刺激を数回繰り返すことで、全身の細胞を活性化できます。その一環として免疫力が高まるため、風邪を引きにくくなります。
②冷房や暖房に頼らない
「子供は風の子」といいますが、実際に幼少期に寒い環境を経験していると風邪をひきにくくなるようです。これは、自力で熱を作り出す褐色脂肪細胞が発達するため。逆に夏場に冷房に頼りすぎると体内で「温熱順化」(暑さに慣れること)が起こらずに、熱を発散させて体温を下げる仕組みがうまく機能しなくなります。これが熱中症のもとになるのです。
③少しきつめの運動を行う
脳の細胞が喜ぶ、ほどよい負荷や刺激になるのが「運動」。HSPを増やすポイントは少しだけきついと感じるようにすること。具体的には、歩いている間に早歩きを1分続けるということを行うだけでOK。通勤や通学の往復時や外出時を早歩きの場として活用すれば、普段の生活の延長として簡単に取り入れることができます。
④少食・断食で細胞が修復する
実は、脳の若返り効果がもっとも期待できるのが「食べないこと」です。HSPの合成が促進される代表的なストレス要因です。私たちが食事をとらない間に全身の細胞は自身のメンテナンスをじっくり行います。その一環として、HSPをたくさん作りだし、生命力を高めようとするのです。まずは1食あたりの量を少なくすることから初めても良いかもしれません。
細胞を修復する方法
・定期的に断食する
・常に6~7分目
・1日2食が理想