脳と体、そして、人生は日々の暮らし方でいくらでも好転できる
遺伝は「運命」にあらず!どう変えるかはあなた次第
これまで、遺伝的な要素は生まれ持ったままで変えることができず、一生付き合っていくものだと考えられていました。最近では、遺伝的に自分がなりやすい病気を調べる検査なども身近になっています。しかし、近年になって、この考えが大きく崩れ始めているのをご存じでしょうか。ずばり、「遺伝子はあとから変えられる」という事実が分かってきたのです。
一人の人間には合計2万を超える遺伝子があるといわれていますが、そのすべてがオンになっている(発現している)わけではありません。どの遺伝子がオンになっていて、どこがオフになっているのか。スイッチの入り具合(遺伝情報)が一人一人異なるわけです。
私たちが、両親や先祖から受け継いだ「遺伝」や「体質」というものは、このオン/オフに関する特定の状態です。そして、このスイッチの入り具合は日夜変化している上に、その人の生き方や環境次第であとからいくらでも変えることができるのです。
実際に、基本的には全く同じ遺伝情報をもつ双子(一卵性双生児)のうち1人が、宇宙飛行士として1年近く宇宙に滞在して地球に戻ったあと、全遺伝子の約4割にあたる9000種類の以上もの遺伝子において、スイッチの入り方が双子のもう一人とは異なっていたという事例もあります。
つまり、生まれ持った「遺伝」や「体質」は不変なものというわけではなく、日々の暮らし方によってよくも悪くも変わっていくのだということです。
そして、このスイッチの入り具合を後天的に決定づける要素のことを「エピゲノム」といいます。私たちが健康な心と体を手に入れるには、エピゲノムを通じて、いかによい方向に遺伝子のスイッチを切り替えていけるかが鍵を握るのです。
不健康を引き起こすスイッチをオフにして健康になれるスイッチをオンにするための習慣を身につければ、「遺伝」や「体質」を過度に恐れたり諦めたりする必要はありません。
脳を守るためにはグリア細胞を元気に
グリア細胞は脳を守るとても重要な働きを担っています。ニューロンやグリア細胞が正常に働くためには、細胞膜の主原料となる脂質の質が体のほかの部位の細胞異常に極めて重要になります。普段の食事のなかでの「高オメガ3・低オメガ6・低飽和脂肪酸・トランス脂肪酸ゼロ」という油のとり方の基本ポイントは、認知症やうつ病の予防や改善をはじめとした「健脳習慣」の柱として、誰もが必要な欠かせないものです。ニューロンとグリア細胞を元気にしましょう。