リッチ・タンパク質で痩せる。お腹いっぱい食べて痩せる?そんな美味しい話あるんです。タンパク質を摂るべき理由と目安を知ろう
高たんぱく質で痩せる理由①タンパク質はDITがもっとも高い。
「DIT」という言葉を知っていたら、なかなかのダイエット通。DITは日本語で「食事誘発性熱産生」食事をするだけで、エネルギー産生量が増える現象だ。
日本人が1日に消費しているエネルギーのうち、DITは約10%を占める。通勤や家事といった生活活動によるエネルギー代謝は全体の約30%だから、その3分の1に匹敵するのである。
ただ、DITという言葉は知っていても、それが糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素で異なると分かっている人は少数派かもしれません。
3大栄養素では消化吸収のプロセスが異なるため、DITにも違いがある。いちばん低いのは脂質で約4%。次に高いのは糖質で約6%。そしてDITがもっとも高いのはタンパク質であり、その割合は30%にも達する。つまり摂ったタンパク質は、70%しかカロリーに変わらないのである。DITが約10%とされるのは、日本人が糖質でカロリーの60%前後、脂質で25%ほどを摂っており、タンパク質からの摂取は15%程度に留まっているからである。
タンパク質からの摂取を増やすほど、食事全体のDITはアップ。エネルギー代謝が上がり痩せやすくなる。
高たんぱく質で痩せる理由②消化管ホルモンで食欲を抑えてくれる。
摂った栄養素に応じて小腸などから分泌される消化管ホルモン。
タンパク質が分解されたアミノ酸に反応するのは、小腸下部にあるL細胞。L細胞が分泌するPYYは、食欲を抑える作用がある。そしてPYYは自律神経の一種である迷走神経を介し、脳に「タンパク質(アミノ酸)が摂れた!」というシグナルを伝えている。
タンパク質が足りない食事だとPYYも十分に分泌されないため、「まだまだ栄養素が足りない!」と脳が満足できず、食べ過ぎる恐れがある。
高たんぱく質で痩せる理由③機能性ペプチドで脂質代謝が改善する。
タンパク質は、小腸でアミノ酸に分解されて体内に吸収される。だが、摂ったタンパク質のすべてが、完全にアミノ酸まで分解されるわけではない。一部は、アミノ酸がいくつか集まったペプチドという形で、体内に入ることが分かっている。アミノ酸で1個ずつ吸収するより、ペプチドでまとめて吸収したほうがスピーディーなのだ。
「このペプチドに多彩な機能性があり、カラダにポジティブな影響を与えることが分かっています」
機能性ペプチドには、気になる血中のコレステロールの代謝を改善するものが多い。牛乳・乳製品から摂れるラクトスタチン、大豆食品から摂れるソイスタチン、卵白由来のオボコレスチンといったペプチドである。
減量に関わるペプチドもある。大豆のβコングリシニン由来のペプチドが一枚嚙み、脂質代謝を促していると考えられる。
また、魚に由来するイソロイシルアルギニン、アルギニルイソロイシンという魚肉ペプチドは、一時的な疲労感をセーブする。
足りないタンパク質をプロテインで補うのは手軽だが、機能性ペプチドの恩恵を受けるためには、タンパク質はできるだけ食品から摂るべきなのである。
高たんぱく質で痩せる理由④大豆たんぱく質に減量効果あり。
かつて、肉類などの動物性たんぱく質と比べて、大豆のような植物性たんぱく質の栄養価は低いと誤解されていた。でも現在では、植物性たんぱく質の代表格である大豆は、体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含み、その栄養的な価値は動物性たんぱく質と同じだと分かっている。
その上、大豆たんぱくには、動物性たんぱくにはないメリットがある。それは大きく2点。
第1に、大豆たんぱくの約20%を占めるβコングリシニンは、お腹の内臓脂肪や血中の中性脂肪を減らしたりする。βコングリシニンを摂ると、ホルモンのように働くFGF21という物資が増加。体脂肪の分解や代謝促進などの効果を発揮するのだ。
2つ目は、動物性食品には含まれていない食物繊維が摂れること。とくに皮ごと食べる蒸し大豆には、水に溶ける水溶性食物繊維も、水に溶けない不溶性食物繊維も豊富。また、豆類から食物繊維を多く摂ると、ビフィズス菌などの善玉菌が短鎖脂肪酸は、交感神経に働きかけて代謝を上げるなどして、痩せやすい環境を演出してくれるのだ。