衰えさせないメンテナンス習慣【口腔編】
優先すべきはフロス&歯間ブラシ
たとえ極細毛の歯ブラシでも歯周ポケットを掃除できるのはせいぜい深さ1mmなで。歯周病菌の多く潜む底まではかき出せない。もし歯周病気味なら、歯周ポケットは3mm以上あるはずです。だが、歯と歯茎の境目を掃除し、食べかすと歯垢を減らすだけでも、その下の細菌叢が変わり、健康的な状態に近づきます。とはいえ、歯ブラシでは虫歯の多発する歯間を掃除しにくい。だからフロスを使って下さい。アメリカでは「フロスか死か」というぐらいに普及しているようです。まれにフロスでうっかり歯茎を傷つけることがあったとしても、メリットの方がはるかに大きいですね。歯間の歯茎に近い部分には、歯間ブラシも使って下さい。こちらは虫歯よりも歯周病予防のために。一日一回と言わず、食事のたびに使うべきだと言われています。食べかすを放置し、唾液で潤し、体温でぬくぬくと温めたら菌の思うつぼ。日中でも大繁殖の可能性が考えられます。
一番重要な時間帯。夜に集中ケアする。
活動中は口や舌も動いていれば、唾液も分泌し、水も飲む。寝ている間はそうもいかないので菌が繁殖しやすい。それゆえ寝る前の歯磨きは一日の中で最も重要となる。
「食べかすを放置すると、増えた細菌がバイオフィルムを形成。時間の経過とともに厚みが増し、やがて歯石となります。こうなると自分では除去できなくなってしまうのですが、そうなるまでは猶予もあります。朝きちんと磨いていれば、昼食後に磨かなくても、夜で挽回することが可能です。漠然と一日3度磨くよりは、夜と朝のケアを丁寧に!」
歯磨きは歯のキワをブラッシング
歯ブラシでのブラッシングで大切なのは、歯の根元と歯茎の間、つまり、「キワ」の部分。
歯の表面や咬合面ばかりをゴシゴシと磨きがちだが、優先順位は高くない。
「基本的に歯と歯がしっかりとかみ合っている部分には、それほど残りません。汚れが残りやすいのは、歯のキワの部分。歯の根元と歯茎の間を磨くときは、歯ブラシを45度ほどに傾けましょう。歯周病対策のために、毛先が歯周ポケットの内部まで届くような意識で磨いて下さい。力強く磨いても汚れがしっかり取れるわけではありません。歯茎を痛める原因にもなるので、歯ブラシは鉛筆を持つときと同じペングリップで握り、優しく丁寧に磨いて下さい」
歯磨きは極めて「キワ」が重要だと覚えておきたい。
オーラルフレイル予防に3.3.7拍子噛み
オーラルフレイルとは、口腔機能が低下し弱ってしまっている状態のこと。40代後半から兆候が出始め、60代後半以降に顕著になる。咀嚼力、舌圧といった口腔機能を維持するために、照山先生が推奨しているのが、グミを使った337拍子噛みトレーニング。
まず、舌と上顎でグミを挟んで10秒キープ。次に、そのグミを左側の歯で337拍子のリズムで噛みます。その次は右側の歯で337拍子のリズムで噛んで下さい。グミがなくなるくらいまで、左右で噛むのを繰り返します。